最近の東京の葬儀の傾向を述べます

亡くなった人から生前に世話になった多くの人たちが集まり、その人に対して哀悼の気持ちを捧げるための儀式が葬儀ですが、これには一般的、伝統的に行われているスタイルのほかにも、さまざまな新しいスタイルのものがあります。特に、故郷を離れて生活をする、いわゆる新住民の割合が高く、新しいスタイルが受け入れられやすい素地がある東京都内であれば、なおさらそのような傾向が強いということができます。スタイルの差異のなかには、純粋に内容の見直しや工夫にかかわるものあれば、費用を抑制するための省略もあり、その意味も一様ではありません。しかし、少なくとも、現在では伝統的なスタイルとは異なる流れがあらわれてきており、実際に参列をする場合にも、予備知識としてそのことを頭に入れておく必要は生まれているといえるでしょう。

亡くなった人の個性を表現する試み

東京都内で執り行われる葬儀であっても、やはり仏教の教義にのっとり、伝統的なスタイルを踏襲することは多いといえます。この場合、菩提寺から僧侶を読んで読経をしてもらうとともに、参列者はそれぞれ霊前で焼香をするのが一般的です。祭壇にも遺影や供物、生花や仏具などがあるだけで、そのほかの余計なものはいっさいないのも通例です。しかし、最近ではこのようなスタイルにも変化があらわれており、たとえば祭壇の形状を本人の趣味を端的にあらわす形状に変更したり、供物として趣味に関連する物品を添えたり、さらには儀式の合間に楽器による演奏などを加えることもあります。これは亡くなった人の個性を反映するための工夫であるといえ、単に形式やしきたりにとらわれるのではなく、亡くなった人のことを悼む場としての意義を重視したものといえます。

家族葬などの小規模なスタイルも増加

東京都内、さらに広く言えば首都圏、関東地方を中心として広がりをみせているのが、家族葬とよばれる新しいスタイルの葬儀のありかたです。この家族葬というのは、名前からもわかるとおり、亡くなった人の家族を中心に、身内にあたる人だけで執り行う小規模な葬儀のことです。家族葬の場合には、密葬とは異なり、社葬や本葬などを別に執り行うことはありません。また、亡くなった人に近い友人や知人程度であれば、積極的に参列を呼びかけるところも、密葬とはやはり異なっています。家族葬は、亡くなった人とあまり親しくはないものの、仕事や地域のつきあいで参列を決める人をはじめから除外して、亡くなった人に近い人だけを選んで参列してもらう形式と言い換えることも可能です。つまり、規模の大小よりも、むしろ儀式を行う意義に着目しているのが、家族葬に代表される新たなスタイルの特徴といえます。